GO ASIA TRAIL の堤です。
この記事を書いているのは2025年12月6日です。2025年もあと残りわずかとなりました。12月は来年2026年のレースが続々と発表されるシーズンです。また、日本ではロングやウルトラのトレイルレースはほぼ開催されず、ショートレースが主流になる時期でもあります。
今回の月刊GO ASIA TRAILでは、こうした話題を中心にお伝えします。
2026年の主要レース日程が出揃う
汚名返上となるか、Kaga Spa Trail Endruance 100 by UTMB(加賀スパ)
先月2025年11月は、2026年の主要なレースの日程が確定しました。特に春から初夏にかけてのレースです。まず注目すべきは、KAGA SPA TRAIL Endurance 100 by UTMB(加賀スパ)ですね。エントリーは11月25日から開始されています。2025年大会のエントリーは数日で全ての枠が埋まりましたが、来年2026年大会はまだまだ空いている状況です。なぜ埋まるのに時間がかかっているのか。そもそもこれが平常運転ではないかなと私は考えております。他のUTMBレースでも、数日で満席になることは極めて異例です。台湾の XTrail Kenting by UTMB も、エントリー開始から約2〜3ヶ月で埋まる形になっているので、おそらく加賀スパトレイルもそのような形になるんではないかなと私は見ています。
2025年大会は、日本初のby UTMBレースとして大きな期待を集め、エントリー開始直後に満席となりました。しかし、大会運営の問題点やコースの厳しさが明らかになったことで、2026年大会へのエントリーは慎重になっている方が多いのではないかと思います。さらに、国際情勢も影響しています。現在、日中関係が冷え込んでおり、中国当局が日本への渡航自粛を勧告している状況です。海外レースでは中国人ランナーの比率が高いため、この影響も少なくないと考えています。渡航自粛は現時点では2026年3月までとなっているようですが、私はこの状態が数年続くのではないかと考えております。
こうした理由から、Kaga Spaのエントリー枠は長く残るのではないかと見ています。また、2025年大会の運営問題について、より詳細な説明が求められているように感じます。どのような問題があり、どう改善されたのか——そうした点をしっかり説明しなければ、参加者の信頼を取り戻すのは難しいのではないでしょうか。
期待の新星、HIROSHIMA TRAIL 2026
また、個人的に今回注目しているのは、2026年4月開催のHIROSHIMA TRAIL 2026です。2024年に開催された広島湾岸トレイルとは別の団体による新しい試みとなります。広島湾岸トレイルが100キロのみだったのに対し、今回は50キロや20キロのミドル・ショートレースも開催され、おそらく国際化への布石ではないかと思っています。
広島での開催には大きなポテンシャルを感じます。交通アクセスが良く、レース会場が大都市の中心部にあるため、宿やレストランも十分です。また、原爆ドーム、広島平和記念資料館、宮島といった観光資源も豊富で、特に欧米からの観光客に人気の高い都市です。
私自身、2年前に山口の秋吉台トレイルレース後に広島に立ち寄りました。約30年ぶりの訪問でした(小学校の修学旅行以来です)。当時の小学生の感覚と今の大人の感覚では、受け取れるものがまったく違いました。個人的にすごく行ってよかったと思っています。ぜひ広島のトレイルに出られる方は、レースだけでなく、こうした観光も楽しんでもらえたらと思います。
関西では定番となった 比叡山インターナショナルトレイルラン
2026年5月には、関西で定番となった比叡山インターナショナルトレイルランが開催されます。2026年5月7日の開催予定で、例年より2週間早い日程です。この大会は50kmでも累積標高3700mというかなりきついコース設定で、日本の50kmレースの中でもトップクラスに入るハードさではないかと思っています。さらに上位クラスの50マイル、80キロは完走率が非常に悪く、例年だいたい40%を切っています。特に女性部門は完走率2割で、エントリー数も10人、完走者は2人程度という厳しさです。50マイルを完走するにはサブ3でもなかなか難しいと言われているので、個人的には海外のエリートランナーにも走っていただいて、日本屈指のタフなレースを体験していただきたいと思っております 😇
あと、数年前からより短い23キロ(累積標高1400m)のコースも用意されているので、初心者やカジュアルに走りたい方にもいいレースになってきています。
アジア圏の2026年レース
海外に目を向けると、World Trail Majorに加入している「Vietnam Mountain Marathon」が注目です。2025年は9月に開催されましたが、2026年も9月17日〜20日の日程が発表されています。ベトナムは日本より平均年齢が若く、参加ランナーや大会運営者も含めて非常に若くエネルギッシュです。私は来年、ここに出場しようかと前向きに検討しています。大会が用意するオフィシャルツアーもあるので、これを利用していけば大会会場へのアクセスに関しても比較的簡単にいけるのではないかと考えています。
また、2026年4月に韓国の済州島で開催されるチェジュインターナショナルトレイルにも注目しています。友人の安藤大——大阪でトレイルランナーズ大阪というチームの代表を務めている彼が、今年4月に参加したブログを読んで興味を持ちました。済州島では毎年10月にTransJeju by UTMBが開催されていますが、このレースは異なるコースを使用しています。済州島で開催されるトレイルランニングレースは日本から最も近い海外トレイルレースなので、初めて海外レースに出る方におすすめの場所だと私は考えます。個人的には、短い37kmのレースを走った後、夜にチェジュ島名物のサムギョプサルを楽しむのがおすすめです。
2026年3月には、台湾最南端の墾丁で台湾初のby UTMBレースとなる「XTrail Kenting by UTMB」が開催されます。私も出場予定ですので、現地レポートをお楽しみに。なお、本レースはすでに全ての枠でエントリーが締め切られていますのでご注意ください。2025年3月にはプレ大会が成功裏に開催されており、本大会への期待も高まっています。墾丁は台湾を代表するリゾート地で、山だけでなく海も楽しめる場所です。また、墾丁のメインストリートでは夜市が開かれているため、レース後に台湾ローカルな雰囲気を満喫できるのも、私がこのレースに期待しているポイントです。
クマ出没による大会・イベント中止が相次いでいる問題
クマの目撃情報に関しては近年以前に比べると増えてきております。特に2025年に入っては、以前よりも目撃情報が多発しており、その影響で日本国内のトレイルランニングレースが相次いで中止を発表しているところが出てきています。
クマが山の中にいること自体は問題ありませんが、最近は人が住むエリアに進出するケースが増えています。特に秋田県での報道には強い懸念を抱いています。
関西でも、以前よりクマの目撃情報が増えています。京都市では大学のキャンパスや住宅地の公園に出没する事例も発生しています。私が住む大阪の北摂エリアでも、ここ数年クマの目撃情報が相次いでおり、山の中だけでなく、山から離れた道路沿いでも確認されています。こうした状況を受けて、私の友人の何人かは単独でのトレイルランニング練習を控えるようになりました。おそらく本格的な冬眠時期に入らない限り、この厳しい状況は続くでしょう。
現時点で抜本的な対策はなく、ハンターによる地道な捕獲や駆除を続けていくしかないのが実情です。今後も、クマの目撃情報に伴って大会やイベントが中止になるケースは増えていくと考えられます。一方で、クマがいないとされている九州エリアは、今後トレイルランニングレースの開催地として注目される可能性があります。
参考情報
まとめ
2025年もあと少しで終わり、来年の主要レースが続々と発表される中、日本国内では冬季に向けてショートレースが主流となる季節になりました。今年度の月刊GO ASIA TRAILでは、2026年の注目すべきレース情報や直面する課題について取り上げました。
日本初のUTMBレースとなった加賀スパは運営問題や国際情勢の影響もあり、エントリー状況が2025年大会と比べると勢いが衰えている。新たな注目大会としては広島トレイル2026が登場し、観光資源も豊かな広島の地でのトレイルランニング体験が期待されます。関西の定番となった比叡山インターナショナルトレイルランは、その厳しさで知られるコースが来年も走者を待ち構えています。アジア圏においても、注目となるレースがいくつもあります。今年はぜひともベトナム進出を図りたいと考えております。
一方で、クマ出没による大会やイベントの中止が相次ぐという課題も顕在化しています。目撃情報の増加により、単独でのトレイルランニング練習を控える動きも広がっており、今後もこの状況は続くと予想されます。九州エリアなど、クマが生息していない地域が今後のトレイルランニング開催地として注目される可能性もあります。
新しい年に向けて、トレイルランニングの世界はさらなる変化と挑戦を迎えようとしています。






